日本におけるクラウドファンディングの現状

現在世界中で大きく成長している分野であるクラウドファンディング。今回の投稿では、主に日本市場に注目した話をしていく。


<目次>

そもそもクラウドファンディングとは? 

クラウドファンディングのタイプ 

日本におけるプレイヤー 

市場規模 

今後のトレンド


クラウドファンディングとは? 

そもそもクラウドファンディングとは一体何を意味するのだろうか?現在のところ明確な辞書的定義は存在しないが、大枠としてインターネットを活用してオンライン上の不特定多数の群衆(Crowd)から資金調達(Funding)を実施することと捉えて良いかと思う。 



クラウドファンディングのタイプ 

上記で見たような基本的なクラウドファンディングの仕組みを持ちながらも現在では大きく4つのタイプのクラウドファンディングがある。下記の図を見ていただきたい。


寄付型 

寄付型のクラウドファンディングでは、支援者は資金提供に対しての基本的な見返りはない。まさに従来の寄付と同様であるが、異なる点としてインターネットの活用によりその寄付金調達範囲の幅が広くなったということだろうか。 


購買型 

アメリカのKickstarterやIndiegogoなど、現在の文脈で発展してきているクラウドファンディングの多くはこの購買型のモデルを採用している。通常、支援者は資金提供額についていくつかの選択肢を提示されており、それに応じてリターンを得ることができる。 


融資型 投資型 

著名なクラウドファンディングの多くが上の購買型を採用している一方で、それらとはある意味で全く異なり、かつ本義的に資金調達を意味しているのは融資型と投資型のクラウドファンディングである。融資型の場合、運営者がプラットフォーム上で資金を集め、それを調達者側に融資し運用する。このケースでは調達者は個人でも法人でもありうる。ちなみに前者をソーシャルレンディングという。 投資型に於いては、多くのケースで支援者がプラットフォーム上で当該企業の株式を購入することになる。まさに投資である。通常の資本市場とは異なり、いわゆる未公開株の発行市場というふうにも考えられ、概念としてはクラウドファ ンディングの中でも非常に複雑な分野の一つである。



日本におけるプレイヤー 

おそらく、現在の日本でクラウドファンディングと言って思い浮かぶのは、ReadyFor, Makuake, Campfireの三者が中心ではないだろうか。調べてみると意外にももっと多様な運営者が居たので、上で述べた4つのタイプ沿って、主だったプレイヤーを見ていく。 


まず寄付型 

おそらく最もアクティブなのはJapanGivingではないだろうか。イギリス最大の寄付型クラウドファンディングの日本版としてスタートしたJust Giving Japanが主にNPO法人への寄付プラットフォームとして機能している同サービスは、2010年にスタートした。過去6年で 2000を超える団体が登録し、支援金の総額は累計で17億円に達すると言われている。元々は寄付型の専門サイトであったが、見てみると購入型的なオプションの追加が可能になって居た。


最も著名な購入型 

ここでは三社紹介する。まず最初に見ていくのはサーバーエージェントの子会社サイバーエージェントクラウドファンディングが運営するMakuakeである。

クラウドファンディングサービスでは後発のMakuakeが競合他社と大きく異なるのは、企業のtoC向けのマーケティング手段としてのポジションを確立していることではないだろうか。飲食やプロダクトに関するプロジェクトに強みを持ち、親会社であるサイバーエージェントの強みを生かして幅広い購買層へのリーチが可能になる。 また2016年1月からはMakuake Enterpriseという企業向けサービスを開始し、クラウドファンディング市場の中でも特にtoC向けに特化していく動きを見せている。


次に、私自身も活用したことがあるCAMPFIREを見ていく。

CAMPFIREはMakuakeとともに総合的な購買型クラウドファンディングサービスであるが、他社と異なるのはその手数料の低さだろう。通常のクラウドファンディングが調達額の約10~20%を手数料とするのに対し、CMAPFIREは5%である。私が実際どのサービスを使うか悩んだ時も、この安さが決め手となり同サービスを使用した。


個人的には代表の家入さんの仰っていることに非常に共感している。

クラウドファンディングの本質とはなにか。 それは、名前もない、お金もない、挑戦者の、 声なき声を、ネットをつかって多くの人に届けるということ。 そして応援してくれる人たちを巻き込んで、活動への支援を集めること。 手数料をなぜ下げるのか。それは1円でも多くクリエイターの手に渡すため。 審査をなぜ無くすのか。それは1人でも多くのクリエイターの夢をかなえるため。


そして、クラウドファンディングとは資金調達の民主化である


インターネットが個人という弱き存在を本質的にエンパワーメントしていく性質を持っていることは疑う余地もなく、クラウドファンディングはこの流れに乗ってお金の面から個人を支えていくものなのだろう。

キングコング西野の絵本が話題になっているが、同氏もCAMPFIREを活用している。


以上からもわかるように、Makuakeとは違い個人にフォーカスした運用をしているように見える。


最後にクラウドファンディングの老舗、ReadyForを見てみる。

誰もがやりたいことを実行できる世の中を作る をミッションに運営しているReadyforは日本初、シェア最大のプラットフォームである。他と同じように領域は総合的だが、特徴として社会的なプロジェクトが多い印象を受ける。



 市場規模 

矢野経済研究所の調査によれば、2015年での日本国内の市場規模(プロジェクト支援額)は約363億円だった。前年度から68.1%の成長。内訳を見てみると、購入型が約32億円、寄付型が約1億円、投資型が約6億円、貸付型が約322億円であり、全体の88%が融資型であることがわかる。クラウドファンディングと聞いて一般に思い描くのは購入型なのではないかと考えると、ある意味で融資型のクラウドファンディングは別途考えなければいけないのかもしれない。これに関して、投融資のクラウドファンディングについては、また別の投稿で詳しく記載していく。

日本国内での市場規模はアメリカやイギリスに比べれば正直とても小さい。しかしながら今後おおきく成長していくことが様々な専門家により予測されており、資金調達のまさに常識になる日も近いかもしれない。



今後のトレンド 

①4タイプの統合化  寄付型と購入型の統合 

②投資型の発展

③分野特化型


①寄付型で述べたように、これまで4タイプあったクラウドファンディングは最終的には大きく二つの流れになる可能性が高い。一つは寄付型と購入型を統合化、あるいは選択式にしたもの。そしてもう一つは投融資型である。 実際に欧米のサービスでは既に資金調達者がそのファンディングの形式を選ぶことできるモデルが出来上がりつつあり、これらの垣根がなくなっていくことが見て取れる。


②日本のクラウドファンディンはこれまで主に投資型以外の分野が非常に盛ん出会った。しかし、金融商品取引法の改正による規制緩和の結果、株式投資型クラウドファンディングが可能になった。そして今夏、日本初となる上記サービスがCrowd Capitalによって開始された。欧米では既に市場規模がかなり大きくなっているこの分野の発展は期待できる。 


③購入型で見られる現象だが、掲載されるプロジェクトの分野の特化が進んでいる。例えばアカデミックに絞ったもの、音楽、アート、、などなどがある。


以上、クラウドファンディングの概要とともに日本市場についての詳細を見てきた。クラウドファンディングが新たな資金調達の手段としてまさにこれまでの調達手段をリプレースしてく存在であるに違いない。今後も注目していきたい。 

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